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アレックス・キング
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※下記コメントは2024年12月(米国時間)時点のものであり、将来予告なく変更される場合があります。
私たちは、30年以上にわたるヘッジファンド業界のデータを調査し、銘柄間格差が大きく、マクロ・ボラティリティと金利が高い時期にヘッジファンドのパフォーマンスが最も良好になる傾向にあることを発見しました。現在はそのような環境に入っていると考えられ、ヘッジファンドをマルチアセット・ポートフォリオに追加することで、リターンを高められる可能性があります。
1990年代と2000年代は、株式ロング/ショート戦略、レラティブ・バリュー戦略、マクロ戦略、イベント・ドリブン戦略など、ヘッジファンドのパフォーマンスが好調でしたが、2010年代はより困難な時期となりました。私たちの調査によると、1990年代と2000年代のヘッジファンドの成功は、3つの市場要因がありました:
図表1は、1990年代/2000年代(青い破線)と2010年代(オレンジの破線)の間で、上記の要因が著しく異なっていることを示しています。重要なのは、これら3つがここにきていずれも上昇していることです。これはヘッジファンド投資家にとって明るい兆しでしょう。
図表1
2010年代の比較的安定した環境から、現在は以下のような特徴を持つ経済レジームに移行していると考えられます。
これらの要因により、マクロ・ボラティリティの水準が上昇し、国ごとの経済のばらつきが大きくなり、その波及的影響で個別銘柄のパフォーマンスの差が拡大するでしょう(金利、インフレ率、成長率の変動は、企業ごとに異なる影響を及ぼします)。加えて、構造的に高く不安定なインフレ率は、財政・産業政策の強化と相まって、金利上昇につながると考えられます。
図表2は、銘柄間格差の程度に応じた株式ロング/ショート・ファンドのパフォーマンスを示しています。左図は、世界の株式市場に対する株式ロング/ショート・ファンドの5年ローリング・ベータ調整後のアウトパフォーマンス(超過リターン)を示したものです。これらのファンドは、銘柄間格差が平均より大きかった時期(水色でハイライトした部分)に力強くアウトパフォームしました。右図は、銘柄間格差が小さかった/平均的だった時期と、銘柄間格差が大きかった時期の平均年率リターンを示しています。ロング/ショート・マネジャーが後者の時期にアウトパフォームしたことは明らかです。
図表2
同様に、図表3は、さまざまな経済環境におけるマクロ・ヘッジファンドのパフォーマンスを示しており、マクロ・ファンドの5年ローリング・リターンを、株式60%/債券40%のポートフォリオと比較しています。グローバル株式ではなく60/40ポートフォリオを使用したのは、60/40ポートフォリオは、概して株式ロング/ショート・ファンドほど大きなリスクを取らず、債券の比率が高いマクロ・ファンドとの類似性が高いためです。マクロ・ファンドは株式ベータがあまり高くない傾向にあることから、リターンのベータ調整は行いませんでした。
左図は、マクロ・ボラティリティが平均より高かった時期(水色でハイライトした部分)にマクロ・ファンドがアウトパフォームしたことを示しています。この関係は明らかですが、上述した銘柄間格差に関する分析結果ほど強力ではありません。右図は、マクロ・ファンドの平均年率リターンが、マクロ・ボラティリティが高い時期には市場よりもはるかに高く、マクロ・ボラティリティが低いまたは平均的な時期には市場とほぼ同等であったことを示しています。
図表3
私たちの見通しが正しければ、ヘッジファンド・マネジャーにとってはアルファを生み出す方法が増え、お客様はその恩恵を受けるでしょう。このような潜在的な変化に備えるために、ヘッジファンド・ポートフォリオの規模や構成を再検討し、ヘッジファンドへのエクスポージャーを十分に持ち、変動の激しい市場でポートフォリオ全体のボラティリティを抑制する必要があります。また、ヘッジファンド業界の資産残高は2024年6月末時点で約4兆3,000億米ドル1に達し、1990年の110倍以上となっています。こうした急速な成長を踏まえると、ファンド・マネジャーの選択がより重要になるため、投資家はアプローチを見直すべきでしょう。
1Source: Hedge Fund Research Inc., as of 30 June 2024.
アレックス・キング
アダム・バーガー